広大地評価と更正の請求

先日、知り合いの税理士から、広大地評価の適用についての意見を求められました。

 

現在の評価通達の取扱いにおいては、「広大地評価」は廃止され、「地積規模の大きな宅地の評価」に改正されましたが、平成29年12月31日以前の宅地の評価では、
地積1,000u以上(三大都市圏は500u以上)の宅地を評価する場合、
・その地域の標準的な規模の地積に比して著しく地積が広大な宅地であること
・戸建住宅の敷地として分譲開発した場合に道路を開設する必要があること
・マンション適地に該当しないこと
といった条件に合えば、40%から65%程度の減額ができるというものでした。

 

現在の取扱いにおいて「広大地評価」は廃止され、「地積規模の大きな宅地の評価」に改正されましたが、改正の趣旨によれば、「定性的(相対的)」なものであったことから、広大地に該当するか否かの判断に苦慮するなどの問題が生じていた旨の説明がされています。
定性的の意味は、数字では表せない「性質」の部分に着目するさまをいい、相対的の意味は、他のものとの比較の上に成り立つさまのことをいいます。
これは、見方によって判断が変わってくるということで、実際に税務署の担当者の間でも判断が異なることもあったというのが実情(のよう)です。
現在の「地積規模の大きな宅地の評価」では、適用要件が明確になり、適用ができるかどうか迷うことはなくなっています。
そもそも評価通達は、あらかじめ定められた評価方式により画一的に評価することにより、納税者間の公平、納税者の便宜という見地からみて合理的であるという理由に基づいて定められているものです。

 

「更正の請求」(税金の還付を求めること)を行うためには、請求の基礎となる事実を証明する書類を請求書に添付しなければなりませんので、標準的地積に比し著しく広大であること、道路開設の必要があることなどについて、主張立証する必要があります。
もともと広大地評価は、地積が大きく売却総額も大きくなると、通常の路線価評価では高くなってしまうことから定められたものです。
実際に「更正の請求」を行って税金の還付を受けるには、現地調査はもちろんのこと、かなりエネルギーを使うことになると思いますが、「ものの味方」や「主張のしかた」によっては、税金を取り戻すことも可能かもしれません。
特に、1,000万円以上の相続税を支払った方は、改めて見直してみてもよいかもしれません。
なお、「更正の請求」ができるのは、相続税の申告期限から5年間(相続開始から5年10か月)となっていますので、注意してください。

 

2020年6月

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